最近、新聞やニュースでチラホラ目にすることが増えてきました「CLT」
「建物をCLTで…」とあるので何となく建材なんだろうな、とは認識されていると思います。
「CLT」とは…
新しい建築集合材です。「集合」というだけあって、板の方向を層ごとにクロス(直交)に重ねて接着剤で圧着した木材で、
日本名は「直交集成材」と称される。
簡単に言うと、木材を縦と横に交互に重ねた分厚いパネルのことです。
従来は、板の方向を平行に重ねた「集成材」でした。
特徴
・互いの層が変形を抑え合い、通常の木材より収縮による変形が少なくなります。
・強度が高く、コンクリートに匹敵するほど。分厚い面材料で建物を支えて、構造的に安定した建物を建てることができる
・厚みがあるので、これまでの柱や梁などの木質材料とは異なり、組み合わせれば壁、床などの幅広い面材としても活用できる。
・もともと木は鉄やコンクリートより断熱性は高く、厚みがあるので特性を活かした快適な省エネ設計も可能となる。
CLTは、材料そのものが頑丈で、構造的な安全性が高い建物が建てられます。
阪神・淡路大震災を再現した揺れに対しても大きな損傷はなく、高い耐震性が実証されています!
これまでは木材を利用した 建物といえば住宅が主なものでしたがCLT は木材の新しい利用法であり、
住宅のみならず これまで木造では建てられてこなかった非住宅と呼ばれる中・大規模や中層の建物への利用が始まっています。
「CLT」を使うメリット
・大きな面材であることや、工場でパネルの製造と加工が行われるので、現場での施工が容易で早い
・コンクリート構造に比べてCLTは軽量であるため、基礎のコストの軽減が見込めます。
・燃えにくい。木材は燃えやすい材料ですが、一度火がついても炭化層が形成され、
CLTのような分厚い材料だと内部までなかなか燃えていきません。
・環境にやさしい。
木材の需要拡大
日本の森林は、木の生長量が利用量を大きく上回っており、成長量に見合った木材資源の有効な利用が求められています。
スウェーデンの木材が、成長量1に対して伐採量が0.85というのに対し、日本は成長量1.7に対して伐採量が0.35です。
ということは、木材が育ちすぎて余っているということです。
農林水産大臣も木材の需要を大きく伸ばすもののひとつになるのではないかとCLTを推進しています。
林業再生と地方再生
岡山県では、北部に位置する真庭市はスギやヒノキの森林資源が豊富にあり、総面積の8割を山林が占める。
全国的には木材加工が寂れる中、幸いにも真庭市には製材・加工業者が多く残っている。
行政も公共施設や不特定多数の集客が見込まれる施設等において、CLTを構造体として利用した施設の設計に
必要な経費への支援及び当該施設の木質化(パーティション等構造体に限らない)及び木製品導入に必要な経費への
支援を実施しています。
たくさんの木を活用するCLTは、国内の森林資源の有効活用や循環型社会の実現を寄与し、
地方の雇用創出や、CO2の低減にも貢献するミライの材料です。